肺炎双球菌による大葉性肺炎 診療過失による死亡
統合失調症にて入院中の患者が肺炎双球菌による大葉性肺炎にて死亡した事件について、金800万円にて和解が成立した事案
肺炎は、細菌、マイコプラズマ、ウイルスなどの病原微生物が原因となって引き起こされる肺の急性炎症です。
人口10万対の肺炎死亡率は、約75、つまり、毎年約9万人が肺炎で死亡しており、日本における死亡順位は第4位とされています。
このような罹患率、死亡率からも明らかなように、肺炎は、死に至る重篤な感染症ですから、医療機関には、早期発見、かつ適切な治療実施が求められているといえます。
この肺炎の具体的な診断と治療としては、ガイドラインが設けられていて、症状に応じた抗菌薬の投与が第一選択となります。
本件は、患者が発熱した際、疾病によってレントゲン及び血液検査を拒否していることを理由に、血液検査・検尿を行わず単純X線などの胸部画像所見も一切取ることなく、インフルエンザ検査が陰性であったにも関わらず、インフルエンザであると決めつけ漫然とタミフルを投与するのみで、それ以降は内科医に受診させることさえなく、死亡に至らせたものでした。
福岡高裁で、原告側が内科医の私的鑑定書を提出し、内科医を証人として尋問。
その上で、高裁は、「レントゲン検査等の検査を行い、肺炎を早期発見して治療を開始すべき診療上の義務があったのであり、これを行わなかった医師らに責任が認められる」と和解所見を出して、金800万円で和解が成立しました。