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古賀克重法律事務所 医療ミス・医療事故 相談事例・実績

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手術適応のない未破裂脳動脈瘤に対してクリッピング術を行った結果、患者に嗄声、嚥下障害などの障害が後遺

患者(当時40歳)に対して、左後下小脳動脈の未破裂動脈瘤(2mm)に対して、クリッピング術を行ったところ、患者に嗄声、嚥下障害などの障害が後遺したケースにおいて、医療機関が責任を認めて、1000万円の示談に応じた事案。

脳動脈瘤は、破裂・出血してくも膜下出血を起こした破裂脳動脈瘤と、破裂に至る前の未破裂脳動脈瘤に区別されます。
無症候性未破裂脳動脈瘤は、症候性脳動脈瘤に比べてより小さく、破裂の危険性がより低いとされています。
未破裂脳動脈瘤に対する手術適応については、脳ドックのガイドラインが、「10mm前後より大きい場合には手術を強く勧める」、「5mm前後より大きく、年齢が70歳以下でその他条件が治療を妨げない場合は手術が勧められる」、「3、4mmの場合には、個別に判断する」としています。
このように、医療機関は、脳動脈瘤の種類、大きさ等を勘案して、手術適応を慎重に判断すべき注意義務を負担しています。

ところが、医療機関は、2mm程度と診断した未破裂動脈瘤について、漫然とクリッピング術を勧めた結果、患者に後遺症が残ってしまったものです。

本件は、医療調査を行った結果、ガイドラインに反しており、手術適応がなかったことは明らかである以上、手術適応を慎重に判断すべき注意義務に違反していると判断して、損害請求書を送付しました。

医療機関は顧問弁護士を通じて、手術適応の判断は個別性が強いものであって、本件の判断に問題はない、避けられなかった合併症にすぎないという主張をする一方で、早期円満解決を行いたいとも申し入れてきました。

本件は、患者に後遺症が残っているものの、訴訟において後遺障害等級を認定できるかは微妙であること、社会復帰して早期解決を希望していること等から、1000万円にて和解し、早期解決に至ったものです。 医療機関は説明義務違反も念頭に置きつつ、手術適応についての不利な点も勘案した上、折衷的な金額にて和解に応じたものと推測されます(説明義務違反のみでは損害額はもう少し低額になるのが通常ですし、手術適応違反まで認めた場合にはもう少し高額になります)。

未破裂脳動脈瘤については訴訟で争われるケースも多く、裁判例も多数あります。各種裁判例の分析が医療側の論文として取りあげられているほどです。

手術適応については、ガイドライン違反=過失(注意義務違反)ではなく、患者の年齢、既往歴、病状に応じた個別判断にはなりますが、医療機関による説明が不十分であった場合、患者・家族にとっては予期せぬ重大な結果が生じたとして紛争になることが多い分野といえます。

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