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古賀克重法律事務所 医療ミス・医療事故 相談事例・実績

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CT検査で腎盂腫瘍疑いが読影されたにもかかわらず、患者への告知及び精密検査を怠ったため、手術機会を喪失した

【事案の概要】

CT検査で腎盂腫瘍疑いが読影されにもかかわらず、患者への告知及び精密検査を怠ったため、その後精腎盂癌進行が確認され、医療機関が見落としを認めて400万円の示談に応じた事案

【交渉経過】

癌は患者・家族の人生に大きな変容を迫るため、その見落としがあった場合の患者・家族の落胆・嘆きは計り知れないほど大きなものです。そのため紛争や相談も多い類型になります。

本件の患者さん(50代・女性)は会社の健康診断で不調を訴え、その後、近くのクリニックでCT検査を受けました。

CT検査では腎盂壁に肥厚が見られ、腎盂腫瘍が疑われました。ところがその事実は患者に告げられず、医師は経過観察を指示したのみでした。

1年後、疑問を抱いた患者が別の大学病院を受診して再度、精密検査を受けたところ、腎盂癌が認められたという事案です。

腎盂癌と判明した時点では、下大静脈が腫大したリンパ節と一塊になってしまい手術による腫瘍完全摘出は不可能だと診断されました。

このように早期発見であれば他の治療法を選択できた可能性もありましたが、手術の可能性を失ってしまいました。

クリニックは当初、責任を否定していました。

当職が示談交渉を受任後、第三者の専門医の意見書(CT検査後に直ちに告知して手術すべきであった、少なくとも患者に選択の機会を与えるべきであった、予後に影響を与えた可能性は否定できない)を提出して交渉した結果、慰謝料400万円にて示談に応じたという事案です(なお本件患者さんはその後の治療が功を奏し、社会復帰して病状は落ち着いています)。

癌は部位によって進展も違いますし、治療方法・予後も違います。同じ癌であっても患者の年齢・既往などによっても異なります。そのため示談例や裁判例も大きく分かれていることには注意が必要です。

例えば、神戸地裁平成27年5月19日判決は、肺に影が見つかったにもかかわらず、経過観察を続けて、肺がんと変わった時点では治療不能だった事案で4000万円の賠償を認めています。

私が担当した胃内視鏡による癌見落としで胃癌ステージが進行した事案では3000万円で示談したケースもあります(胃内視鏡・生検による癌見落としで胃癌ステージが進行 https://iryou.lawyer-koga.jp/jirei/06.html

一方、名古屋地裁平成26年5月30日判決は、B型肝炎患者が肝癌を見落とした過失を争った事案で、請求を棄却しています。

そのため「見落とし」というだけでは責任の有無・賠償額は測れません(一律に金額が出てくるものではありません)。予後や治療方法について十分に医療機関から説明を受けるとともに、場合によっては弁護士に相談していくことがのぞまれます。

相談事例・実績一覧