埋状智歯の抜歯術後に、味覚の症状を伴う舌神経麻痺が残存した
歯抜歯術後を実施したところ、舌神経に異常をきたし、味覚の症状を伴う舌神経麻痺が残存したケースについて後遺障害14級をベースに200万円強の示談が成立
本件は就職する前の若年患者が親知らず(埋状智歯)を抜歯した後に、舌神経の異常が続いて、味覚症状を伴う舌神経麻痺が残ったというケースです。
症状固定後にご家族から依頼があり、示談交渉を受任。相手方歯科医院側の弁護士と示談交渉した結果、比較的早期に示談が成立しました。
智歯抜歯のケースについては後遺障害の程度についても争いになることが少なくありません。本件では患者が別の複数の医療機関を受診して診断・検査を受けており、その検査内容も後遺障害を認定する上で一つのポイントになりました。
また智歯抜歯の際に異常が残る合併症は少なからず発生するものです。ですからその全てが医療ミスということにはならないことには注意を要します。
本件でも施術内容について具体的に指摘するほか、事前に同意書を取っておらずインフォームドコンセントが十分でないことも指摘した上で早期の示談成立に至りました。
なお損害額については、舌神経麻痺の程度、患者の年齢、患者の職業、舌神経麻痺の職業への具体的な影響、術後の治療期間(再手術の有無)、通院期間などによって一定の幅が当然ですが出てきます。
例えば平成26年11月6日東京地裁判決は同種事案において400万円強の損害額を認定していますが、このケースは被害者が接客業務に従事しており、呂律を回りにくくしていることから症状固定日(24歳)から43年に渡って労働能力2パーセントに限って(後遺障害14級の通常の喪失率は5%)喪失したと判断したものです。