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古賀克重法律事務所 医療ミス・医療事故 相談事例・実績

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陣痛促進剤投与後、分娩が遷延したにもかかわらず処置が遅れ、胎児が死亡し母が子宮破裂した

陣痛促進剤投与後、反復する高度変動一過性徐脈が出現した後もクリステレル圧出法による分娩が施行され、転院後、胎児が死亡するとともに、母も子宮破裂により子宮摘出したケースにおいて2000万円の示談が成立した事案

医療機関は、胎児が機能不全に陥った場合、陣痛促進剤の投与を中止するとともに、胎児の状態を観察して状態改善のための適切な措置を行う必要があります。

本件では、軽度変動一過性徐脈が繰り返し出現した後、オキシトシンの持続点滴を中止してクリステレル圧出法を行い、吸引分娩を試みましたが分娩できませんでした。

ところが医療機関は、その時点において転院ないし帝王切開に切り替えるのではなく、オキシトシンの持続点滴を再度開始したため、5分後には反復する高度変動一過性徐脈が出現するに至っています。

しかもオキシトシンの持続点滴開始の再開にあたって、分娩監視装置による監視を行っていませんでした。また患者・家族の同意も取っていませんでした。

そもそもオキシトシンの使用にあたっては、胎児機能不全や子宮破裂が起こることがあります。そしてオキシトシンの使用によって母体あるいは児が重篤な転機に至った症例が報告されており、特に子宮破裂は多産婦の患者に起こりやすいと指摘され、慎重投与が求められていますが、その点に関する配慮はなく、事前の説明もなかったものでした。

結局、母体は救急搬送されましたが、別医療機関に到着時には腹部超音波断層法にて胎児心拍を確認できず、子宮内胎児死亡と判断されました。母も子宮破裂しており、子宮摘出を余儀なくされたという事案でした。

当職が受任後、ご家族とはかなり密に打合せを繰り返しながら損害請求書を作成していきました。胎児死亡の損害額は交通事故訴訟などでもかなり低く抑えられています。しかしながら医療事故・産科事故の特殊性、そして母体自体が後遺障害を負ったことなども丁寧に主張立証していきました。

個人の産科医でしたが、一定の謝罪もあり、早期示談成立に至ったものです。母親含めてご家族も大変苦しんでおられましたが、何とか解決に至ることができました。

本件の争点の一つであった陣痛促進剤の投与方法や説明義務はかなり以前から問題となっている、いわば古典的な論点です。それにもかからず医療現場ではまだまだ問題な陣痛促進剤投与が行われていることを実感した事案でした。

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