インプラント埋入の際、三叉神経障害を後遺
患者がインプラント2本の埋入治療を受けたところ、三叉神経障害を傷つけたため、末梢神経障害性疼痛を後遺したケースについて、後遺障害14級をベースに約300万円の示談が成立
本件は、インプラントの施術を受けた後に著しい疼痛が発生して患者の業務に影響が出たという事案です。
インプラント埋入治療においては、重度の神経障害を発生する可能性があります。ひとたび神経障害を後遺した場合には患者のQOLに多大な影響を与えますから、患者の苦しみは疼痛にとどまらず生活・仕事など人生全般に影響を与えかねません。
それにもかかわらず歯科医からの事前の説明が不十分なこととも相まって、予期せぬ結果が後遺した場合には紛争に発展することが少なくないのです。最近は歯科の相談が増えていますが、その中でも同種相談が増えています。
本件の患者も、インプラント埋入術後から知覚頓麻と痛みを強く訴えており、痛みが継続しました。その業務にも現実的な影響が出始めて、歯科医院の不誠実な対応とも相まって当職に相談に来訪したものでした。
損害賠償請求・示談交渉事件として受任。まずはカルテや治療内容を分析して、注意義務違反の具体的な内容を確定しました。その上で、患者からインプラント後の治療経過をまとめてもらい、損害額を算定して損害請求書を送付しました。
歯科医院の弁護士とその後数度の交渉を行って最終的に約300万円にて示談が成立したものです。
なお損害額については、術後の治療費・休業損害・通院期間などバリエーションがありますし、後遺障害が認められるかによって損害額にはかなり幅が出てきます(本件は12級を主張し、相手方は14級を認定)。インプラント術後の神経障害の場合に本件示談金額がスタンダードになるものではないことには注意が必要です。
本件の患者さん(依頼者)も訴訟前に示談解決して喜んでくれましたが、一方痛みは今も継続しているため最後まで苦しい胸の内を訴えておられました。歯科にまつわる神経障害は日々の生活に大きな影響を与えることになるからこそ、信頼できる歯科医院を選ぶ、事前に十分な説明を聞く、場合によっては家族も一緒に説明を受けてリスクを認識して意思決定する必要があるでしょう。