智歯(親知らず)抜歯の際、舌神経の誤切断によって舌神経知覚麻痺が後遺
患者が下奥の智歯(親知らず)の抜歯治療を受けたところ、舌神経の誤切断によって舌神経知覚麻痺が発生したケースについて、後遺障害14級をベースに約350万円の示談が成立
本件は智歯、いわゆる親知らずを抜歯した後に神経麻痺が後遺した事案です。
患者は抜歯から1週間経過してもいまだに口腔内に麻酔が聴いており、食べにくい・話しにくいという違和感が残ったままでした。
不信に思った患者が再度診察に訪問したところ、別病院における精密検査を指示されました。
別病院においてCT、レントゲン、感覚テスト、味覚テスト等の精密検査を実施したところ、舌の半分と歯茎の半分に感覚がないと診断されたものです。
下顎智歯抜歯に際して、医療機関は、患者の年齢等をふまえた適切な治療計画を立てて、下顎神経の圧迫や切断によって近く神経障害を引き起こさないように慎重に抜歯する注意義務があります。
本件ではかかる注意義務違反があると主張して損害賠償請求しました。
相手方弁護士と交渉の結果、後遺症14級をベースに後遺症慰謝料、入通院慰謝料、休業損害、治療費、交通費等の損害が認定され、約350万円にて訴訟前の示談が成立しました。
法律相談を受けていると、抜歯後の神経麻痺は意外と多く発生しており、また特定の病院に集中していることを感じます。
親知らずの抜歯だからと安易に考えずに、ご自分の歯について検査してもらい、治療を受ける前に十分に治療計画を立ててもらうこと、そして病院選びには慎重を期することが求められているでしょう。