胆嚢摘出手術のERCP検査時に膵管ステントを体内に残置して膵炎を発症させた
患者が胆嚢摘出手術のためERCP検査を受けたところ、膵管ステントが膵臓無いに迷入したため膵炎を発症したほか、膵管ステントが膵臓内に残置してしまったケースについて、500万強にて訴訟前の示談が成立したケース
胆嚢摘出術は1882年にドイツのランゲンブーフが最初に行った手術です。
適応は、胆石症、病状を呈する良性腫瘍、悪性が否定できない良性腫瘍になります。
合併症としては胆汁漏出、出血、副肝管や胆管の損傷があります。
しかしながら本件は胆管検査(ERCP検査)において、膵管ステントを残置してしまったもので明白な医療過誤という案件でした。
相談者はステント残置による今後の体調に大きな不安を抱えて相談に来られ、損害賠償の示談交渉事件として直ちに受任しました。
膵管ステントが摘出できないため生涯残置されることを前提に損害を積算。当方の請求額と医療機関側の提示額に差がありましたが、最終的に医療機関から上乗せの提示がありました。
そして現時点において明らかな後遺症は発生しておりませんが、今後、ステントの残置と相当因果関係のある後遺症が発生した場合には再度協議することを明記した上で、500万円強にて示談が成立したものです。
なお、ERCPに関しては膵炎を発するケースは少なくなく、医療過誤訴訟も散見します。ERCP実施後による膵炎発症は重症化することもあることは専門医には常識とされています。そのため、通常はすぐに重症度判定、CT検査を行うべきとされていて、膵炎発症後の処置について争われることが少なくありません。