子宮全摘術後、腹腔内にガーゼ一枚が遺残した
膣式単純性子宮全摘術において、腹腔内にガーゼ一枚を遺残したばかりか、腹部レントゲンに遺残ガーゼが映っていたにもかかわらず数回に渡ってこれを見落としたケースについて、100万円で訴訟前の示談が成立したケース
手術時にガーゼを患者の体内に遺残してしまう事故も頻繁に発生している医療事故類型です。日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の報告によっても、体内への異物残存事例は、平成24年に32件、平成25年に23件、平成26年28件になっています。
ガーゼ遺残はガーゼカウントや手術終了後のX線撮影などを徹底し、チーム医療として意識付けしていれば容易に避けられる医療事故です。幸いに後遺症が発生しないケースばかりではなく、中には死亡するなど重大な結果に結びつくケースも少なくありません。
本件は子宮全摘術後、腹腔内にガーゼ一枚を残存させてしまったという事案でした。
術後、数年・数回に渡ってX線検査等が実施されており、その時の画像をチェックするとガーゼ遺残が見受けられます。
つまりガーゼ遺残後も複数回にわたって早期にガーゼ遺残を認識すべきだったにもかかわらず放置されており、経過を不審に思った家族の指摘で発覚したというケースです。
医療機関側の対応に不満を抱えた患者・家族から当職が依頼をうけて医療機関と交渉しました。
以上のような経過をふまえた謝罪や再発防止を求めました。その上で本件ではまだ癒着・痛み・後遺症などは発生していませんでしたから、将来の手術費用の分担なども争点になったものです。
患者側の求めた示談事項はほぼ受け入れられて、100万円にて訴訟前に示談が早期成立したものです。