指の腫瘍(ガングリオン)を取り除くため皮下腫瘍摘出術を受けた際、腱を切断された
指の腫瘍(ガングリオン)を取り除くために、皮下腫瘍摘出術を受けたところ手術操作によって腱を切断してしまった。手術前に、腱ないし神経を傷つける可能性があることを説明していなかったほか、再手術すれば100%治ると説明して再手術を受けさせたものの、症状が改善しなかった事案において、400万円弱の示談が成立した事案
整形外科は事前に十分な説明がない場合に、症状改善を期待していた患者と実際の効果、合併症との解離が大きく、患者・家族が不満に思うケースが少なくありません。
本件も「簡単な手術で心配は何もありませんよ」と事前に説明を受けたにもかかわらず、腱切断という患者にしてもれば思いもよらぬ重大な結果が発生したものです。
また術前の説明だけでなく、術後にも再手術すれば100%完治するという説明を行い、再手術によっても症状が改善しませんでした。
このように本件は説明義務違反がうかがわれる事案でした。
また、皮下腫瘍摘出術を実施するにあたっては、腫瘍が皮下組織から腱まで及んでいることが予想されるため、血管神経の近くを操作する際には、慎重に手技を行い、さらに場合によっては顕微鏡を使用して腱ないし神経を損傷しないように摘出術を実施すべき注意義務を負担します。
また場合によっては手技を中止すべき注意義務を負担します。
ところが指の腫瘍が神経にからみついて切除しにくい状況であったにもかかわらず、漫然と手術を行ったものであり、手技ミスもうかがわれる事案でした。
そこで当職が受任して損害賠償請求を行ったところ、審査の結果、医療機関が法的責任を認めました。そして、交渉過程において後遺障害の認定も要求したところ14級を認め、400万円弱で示談が成立しました。